さぁディナーのはじまりだ


われわれの厨房には今日から多くの新人が入ってきてくれた
ご覧の通り雑然とした場所だが
世界中から集めてきた食材もあるし
高性能な調理器具も優秀な先輩料理人もそろっている
立派に励んでオリジナルな料理を作り出してほしい


なに?君は自前の食材を持ち込んできたって?
鹿児島一級品の黒豚か、それは感心だ。
肉料理なら彼の仕事を見てまねてやってみるといい。


なに?使い慣れたこの野菜切り包丁を持ち込んでよいかって?
大歓迎だ。ほう、よく磨いてあるじゃないか。
今日仕入れてきた新鮮な野菜をそれできれいに細く切って、
わがレストラン秘伝のドレッシングをかけて食卓にならべてみよう。


なに?とくに何も持ってきていないので帰ってもよいかって?
気にすることはない。
まずは皿洗いでもやりながらみんなの仕事を見て作りたい料理を考えてみればいい。
魚料理専門のシェフが助手を探しているところだぞやってみるかね。


なに?おまえは気が早いな、
もう食卓に座ってナイフとフォークを持っているなんて。
腹が減ったのでなにか食べるものはないかって?
残念ながらあなたは来るところを間違えたようだ、出口はあちらだ。良い店がみつかるとよいな。


おっと、オーナーがやってきたぞ。
古参シェフが苦心の末に作り出した最新メニューのお披露目だ。
したくをしろ、
野菜を切れ、
肉を焼け、
皿に並べろ、
ワインを注げ。


オーナーいかがですか?


「うむ。これはまずい。」


よし作り直しだ!フライパンに火を入れろ!

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というおとぎばなし(?)を、ドイツ滞在中のとある日の朝
シャワーを浴びているときに思い付いて、メモに書き止めてあったのですが
先日新入生配属があったりしてちょうどいいタイミングということで公開してみるテスト。
後悔してみるテストになったりして。