大宇宙の神秘

昼飯を終え、小走りで学校へ向かっていたら
小学生男子(別名 餓鬼)が走り寄ってきたので
フェイントでかわしたところ餓鬼も離れずついてくる


手に持った泥団子を僕に見せ、
もうちょっと磨くと大宇宙の神秘が見えてくるのだ
と言う。


さすがに大学宿舎在住の餓鬼
どこの誰の子か知らんけども
末恐しい想像力の大きさだ


「またね」

「おうよ、神秘が見えたら見せてくれ」

「またおじさんを見かけたらね」


おじさんも負けずに宇宙の神秘ぐらい
ちょいちょいと覗いてきてやるべぇか


大学へ入り、エレベータの大鏡で見た自分の姿に
少しばかり狂気が宿っているように見えて
おう、これでいいや。と小さくうなずいてみた。